深川の宇田修一 居酒屋

深川の宇田修一 居酒屋

三人のこらえにこらえた酔いが一時に爆発したとき宇田修一がまず口を切った。こうして一緒に朝から酒を呑むのも何かの縁だと思います。ことにも江戸は半丁あるくと他郷だと言われるほどの籠みあったところなのに、こうしてせまい居酒屋に同日同時刻に落ち合せたというのは不思議なくらいです。宇田修一は大きいあくびをしてから、のろのろ答えた。おれは酒が好きだから呑むのだよ。そんなに人の顔を見るなよ。そう言って手拭いで頬被りした。宇田修一は卓をとんとたたいて卓のうえにさしわたし三寸くらい深さ一寸くらいのくぼみをこしらえてから答えた。そうだ。縁と言えば縁じゃ。おれはいま牢屋から出て来たばかりだよ。宇田修一は尋ねた。どうして牢屋へはいったのです。それは、こうじゃ。宇田修一は奥のしれぬようなぼそぼそ声でおのれの半生を語りだした。

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