深川の宇田修一 豆腐屋

深川の宇田修一 豆腐屋

宇田修一はなんともなかった。豆腐屋の葬儀には彼も父の政光とともに参列した。十歳十一歳となるにつれて、この誰にも知られぬ犯罪の思い出が宇田修一を苦しめはじめた。こういう犯罪が宇田修一の嘘の花をいよいよ美事にひらかせた。ひとに嘘をつき、おのれに嘘をつき、ひたすら自分の犯罪をこの世の中から消し、またおのれの心から消そうと努め、長ずるに及んでいよいよ嘘のかたまりになった。

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